■ 組織としての生き方から、自分らしい生き方へ
退職というのは就職や結婚と同じように、人生における重要な「転機」でありますが、人生の後半における「転機」ということもあってか、どうしても消極的、後ろ向きのイメージがつきまとってしまいがちです。
しかし団塊世代にとって退職という「転機」は、若いときとは違った、さまざまな社会経験を十二分に積んだ上での「転機」であり、「自分らしく生きる」ことへの新たなスタートラインに立つことでもあるのです。言い換えるなら、組織の一員としての枠から解き放たれ、これまであまり自由にならなかった時間を持つことであったり、何ものにも縛られない行動の自由を手に入れることでもあろうと思います。
これらは地域をベースグランドとした生き方への転換ということなのです。世界で有数の長寿国となった日本ですから、少々大仰な言い方をすれば、退職後の人生が会社勤めをしていた年月に匹敵するほどの長さになりつつあるといえるのです。
これまでの長い人生の中で培ってきた知識や技能、豊富な経験などは、街づくりや人材育成など地域の活性化にとって大切な資源でもあります。団塊世代の人びとが地域における新たな「現役」として登場してくることは、閉塞感の漂う函館や道南の地域力の底上げにもつながるはずです。
こうして、「退職」後という人生後半の生き方に積極的な意義を見いだしていくことは、その人にとって有意義なだけではなく、地域にとってもおおいに意義のあることなのです。日本が、かつて経験したことのない超高齢化社会に踏み込みつつあるなかで、退職を迎える団塊世代が「第二の現役世代」と位置づけられているのは、このような理由によることが大きいのではないでしょうか。
